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本を、旅を、世の中をどのように見るのか


by qzr02421
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子どもの死亡原因の第一は病気ではなく・・・

「3現」というのは。現地で、実際に現物を見て、現地で人から直接話を聞くというものだ。「現地」、「現物」、「現人」というのが3現主義で、「見ない」、「考えない」、「歩かない」の3ナイと対極的な考え方だ。
 
 畑村洋太郎著の『失敗学実践講義』という本の一節だ。失敗を学んで、二度と同じ失敗をしないことが重要ということが書かれている本だ。仏教の悟りやホトケの教えを示した「曼荼羅」を参考にして「失敗曼荼羅」というものを提起している。

過去の起こった失敗から得られる知識を正しく伝達することが重要という考えだ。そのために失敗知識の構造を明らかにすることが求められている。「原因曼荼羅」、「行動曼荼羅」、「結果曼荼羅」の三種類がある。失敗を原因、行動(経過)、結果に三段階の分けているということだ。

原因と結果では、原因の除去をすれば、結果がないということになってしまう。実はそれほど話は単純ではないということだ。原因を取り除いても、失敗は起こることが多いのだ。その原因は行動(経過、プロセス)にあるというのだ。これをヒューマンエラーとよんでいるのだ。

原因曼荼羅には、失敗の原因を、個人・個人と組織いずれでもない・組織・誰の責任でもないの四種類に分けている。行動曼荼羅は物への行動が原因となるものと、人そのものの行動が原因となるものに分けている。最後の結果曼荼羅は、物への結果、人への結果、組織・社会への結果などをあげている。

六本木ヒルズ大型回転ドア事故をとりあげ、「子どもの死亡原因の第一は病気ではなく、不慮の事故が第一になっている」「子どもの好奇心を無視した安全対策は現在では有効ではない」「安全対策は個人の自覚の頼る考え方は現在では通用しない」「人の危険感知度は狭くなっている」「同じ事故は30年サイクルで起きる」「想定できることは必ず起きるというのが原則だ」などが提起されている。

日本航空のトラブルを取り上げて、「人間の注意力や集中力には限界がある」「その解決方法はいい加減にやる」ということだ。金融システムの失敗では「システムは全体で動かしてみないときちんとした検証作業はできない」「専門家はトータルで見ることができない」「バカと専門家は細かいことを言いたがる、気になる」この他にも「見たくないものは見えない」ということや、「立場よって見える風景がちがう」など示唆に富むことが多い本だった。
by qzr02421 | 2008-10-17 20:16 |