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本を、旅を、世の中をどのように見るのか


by qzr02421
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この世にはたんなる過去と、未来をひらく過去の二通りがある

カルチャーセンターで19・20世紀の文化史を話すということで、話題を探そうと『クラシック千夜一夜』を読む。宮城谷昌光著だ。彼はメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調を聞くことから、クラシックの道の入ってということだ。

しかもこの曲を学校の校内放送で聞いて、感動し、レコードを買いに行く。レコード屋の店主に、メロディを歌うのではなく、こういう感じの曲と印象を伝えると、店主はあっと声をあげ、レコードを持ってきたという。それがメンデルスゾーンというわけだ。

印象を伝える中学生もすごいが、その印象を聞いてレコードを持ってきた店主もこれまたすごいと思った。この本には「ある発言をしたとき、読者にたいしてお土産をもってゆかない人と、お土産を持っていく人がある」という文章がある。

お土産を持っていく人というのは、外向きの言葉を持っている人だというのだ。つまり音楽なら音楽を知らない人にも分かるように話が出来る人ということらしい。お土産を持っていけるように心がけたいものだ。

また、「この世にはたんなる過去と、未来をひらく過去の二通りがある」と言っている。未来をひらく過去とは伝統といってもよいとも言っている。未来をひらく過去とするのも人間の興味関心ということのように感じた。歴史は関心を持った人間の前に開かれるような気がする。

この本には「ペールギュント」の素晴らしさ、トスカニーニの逸話、三つのオレンジの恋の話、展来会の絵の素晴らしさなどの話が満載だ。クラシックが好きな人には楽しい本だと思った。
by qzr02421 | 2008-08-21 05:23 |