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本を、旅を、世の中をどのように見るのか


by qzr02421
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日本の始めての印刷は『百万塔陀羅尼』だ

写本に対して印刷、整版についても調べてみた。
整版としては、日本の始めての印刷は一般に『百万塔陀羅尼』と称されているものである。これは奈良時代の女帝、称徳天皇の発願で木造りの三重の小塔百万塔を造らせ、畿内十大寺に十万基ずつ納めさせたものである。『百万塔陀羅尼』の印刷の後、平安時代中期までの270年間、印刷が行われたのか行われなかったのか、印刷物が残っていないので分からない。
印刷物が残るほうが、ビックリというわけだ。1000年以上前の印刷物ばかりでなく、10年前の印刷物だって、残っていないものだ。

『百万塔陀羅尼』の次に古い印刷物は石山寺の経蔵から発見された天喜元年(1053年)の朱書のある『仏説六字神呪王経』である。平安前期まで仏典は写経の風習によってきたので、刷られたとしても少数であったと考えられる。平安中期以後は先祖の供養とか来世の供養などのために経典が印刷することが1009年頃からみられる。これを摺経と呼んだ。経典の印刷はこの他「春日版」、鎌倉時代以降の「奈良版」「高野版」、「叡山版」、「浄土版」、「五山版」がある。

南北朝時代の応安の末頃から日本最初の営利出版が見られるようになった。それは寺院版に海賊版であった。新しい書物を印刷したわけではなく、旧来から希望の多い寺院開版の仏教書を、そのまま覆刻版として別の版木に彫りなおして出版するもので、原版にあった誤字はそのまま誤字を彫ってある。日本の印刷に主流をなしてきなのは整版による印刷方法である。いつでも海賊版、著作権の侵害はあるのだということが分かる。

江戸時代初頭に、いわゆる古活字印刷の小規模な流行があっても、整版のような印刷方法は続いていた。ところで、整版印刷とは、版木に文字を左右逆に彫ってその上に墨を塗り、料紙を置いて、バレンでこすり、印刷した本をいう。これに対して活字版は一字ずつ独立した文字を彫刻し、これを排列組み合わせて原版にし、印刷する方法である。

活字とは文字通り一字一字が活きているという意味である。その一字ずつを植字するためにいわゆる誤植や文字の転倒、歪みなどがどうしてもさけられず、これらの現象は整版本と区別する目じるしになる。
by qzr02421 | 2008-05-14 17:59 | 歴史