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本を、旅を、世の中をどのように見るのか


by qzr02421
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戯曲は心理描写がないのだ

小説と戯曲は何が違うのだろうか。戯曲を読んだことがあるだろうか。小説は読んだことがあるだろう。この二つのものはものすごく違っているのだ。小説はその人物の描写、その人物の心理描写が細かく書いてあることが多い。朝起きたときの主人公の部屋の様子が書かれていることが多いのだ。朝起きたときの気分も書かれているかもしれない。たとえば、昨夜お酒を飲みすぎて気分が悪く、机の前の恋人の写真を見る気もしない、なぜなら・・・と、描写が具体的なのだ。

これに対して戯曲は、心理描写もなく、部屋のレイアウトもない。ト書きいうものがあるにはあるのだが、戯曲を書く人によってもちろん違うのが、細かく書く人のいるのだが、圧倒的に簡単なト書きしかない。朝、主人公が自分の部屋で目覚め、セリフというという段取りだ。その主人公の人間関係はこの段階ではさっぱり分からない。兄弟がいるのか、親は生きているのか、どこの大学を卒業しているのか、高卒だけなのかということがさっぱり分からないのが戯曲の特徴なのだ。

基本的の最も違うのが、戯曲には心理描写がないということだ。どういう気持ちでそのセリフを言っているのかは全然書かれていないのだ。ある朝といわれても、月曜の朝、つまり一週間のはじまりで、またつらい仕事が一週間続くのかという気持ちでセリフを言うのか、あるいは金曜日の朝で、今日頑張れば明日から休みで、やった!という気分なのか、またまた、土曜日の朝で、今日はどうしようか、デートでもしようかという気分なのかが、戯曲では一般に指定されていないのだ。

戯曲の最大の特徴は心理描写がないということは、どのどうの気持ちでセリフを言ってもよいということでもある。演出家の意向、役者の意向で演技プランが変化するのだ。その変化が面白いといえば面白いのだが、大変といえば実の大変なのだ。演出家は「どうしてそのセリフを言うのか、どうしてそこへ移動するのか」と役者に問うのだ。その何故に答えることができる演技を要求されるのだ。これは実の大変なことなのだが、考えようによっては、実の想像力をいかせることでもあるのだ。
by qzr02421 | 2012-01-26 21:38 | 劇,映画その他