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本を、旅を、世の中をどのように見るのか


by qzr02421
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想像力と体験が重要なのだ

大人でもハシカにかかり死ぬことがある。ハシカつまり麻疹は昔は大人の病気だったのだが、免疫を手に入れることにより、子どもの病気になったのだ。未開の地域があって、大人も麻疹にかかったことがない地域で麻疹は流行すれば致死率は高くなるのだ。子どものころ麻疹にかからず大人になり、自分の子どもが麻疹になったときには、自分も感染して死ぬのではないのかという恐怖で、自分の家から逃げ出した小説家がいた。

その小説家がその顛末を『わたしの普段着』で書いている。その小説家というのは吉村昭である。さまざまな伝記小説など書き、死ぬということを超越しているように見える吉村さんがあわてて逃げ出す様子を想像するのも面白言うものだ。本人は死にたくない、とくに新聞に「吉村昭、ハシカのため死去」などと新聞に書かれたくないというのだ。そうなのかも知れないと思った。

橋本治と内田樹の対談集を読んだ。橋本治と内田樹の対談ということで楽しみに読んだのだが、話は絡み合わないような、禅問答のような不思議な対談だった。養老猛が橋本治の本を読んで、「橋本治は頭がよいのではなく、頭が丈夫なのだ」と言ったそうだ。橋本治は「私の身体は頭がいい」と自分で言っている。頭だけで考えていると疲れるので体全体で考えるというのだ。小説を書くときには万年筆が考えているというのだ。

貧乏という言葉を知っていても、貧乏という状態を実感できなければ、その状態になっても自分は貧乏ということには気がつかない。今の若者でワーキングプワという存在があるが、彼らは自分の生活を貧乏とは思わないだろうというような文章があった。それはその通りだと思った。ディベートについて、内田樹は「どうやって勝つかじゃなくて、どうやって負けるかということで、自分が勝つと分かったときに、相手に名誉ある撤退する道を用意するかが大切なことだ」と言っている。それもその通りだと思った。
by qzr02421 | 2011-08-07 19:44 |