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本を、旅を、世の中をどのように見るのか


by qzr02421
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4歳未満の記憶は保持できないらしい

人間の子どもの頃記憶はどれくらい正確なのだろうか。クラス会で小学校時代の思い出を友と語っても、一致する思い出と一致しない思い出がある。どちらかといえば、一致しないことのほうが多い。以前のクラス会で、結構乱暴な奴が、お前のずいぶん助けられたといわれたが、助けた記憶がないのだ。私が助けたのが、他の誰かが助けた記憶が変化しているのは分からない。

記憶というものはアイデンティティの根本をなすものだが、過去の記憶は本当のそのようなことがあったのかは分からないということだ。『子どもの頃の思い出は本物か』、副題は「記憶に裏切られるとき」でカール・サバー著によると4歳までは記憶を保持することが出来ないそうだ。4歳までの記憶があれとすれば、それはあとから両親などから聞いて、その記憶が再構築されたのだろうということだ。催眠術などで4歳以前の記憶を呼び戻すことがあれば、その記憶が正しいかどうかはわからないというのだ。生まれ変わりの記憶もあるが、けっこう有名人の生まれ変わりが多いのはどうしてだろう疑問の提示している。

歴史では史料批判ということをする。平安時代のことを研究しようとすれば、その時代の史料をさがす、平安時代は貴族の日記が多く残されているので、その時代の複数の日記に叙述があれば、それは歴史的事実となるのだ。武士は文字を書くことが少なかったので、案外、武士の歴史は分からない。貴族の日記から武士のことを類推するしかない。貴族の悪意が武士を貶めているかの可能性もあると思う。農民については納税していることは分かるが、それ以上のことは分からない。室町時代に「天下の土民蜂起す」という貴族の日記があるので、室町時代の農民の事情が少し分かる程度なのだ。過去のことは分かっているようで、実は分からないのが実情なのだ。

自分の子どもの頃のことについて調べようとすれば、その一級資料は両親や親戚の人が記憶しかない。複数の人の記憶が一致し、自分がその記憶を保持していれば、その事件は存在したと認定することができる。一人の人が言っていることではその事件があったのかなかったのかは分からないのだ。それほど子どもの頃の記憶に固執することはないのだが、子どもの頃の記憶が正しいかどうかわからないということを知ることは重要なことだと思う。こういう記憶が望ましい、こういうように憶えていると、自分のアイデンティティの保持がしやすいなどの事情で、過去の記憶が変化していることが多いのだ。過去の記憶にとらわれないのが一番なのだ。
by qzr02421 | 2011-06-19 16:01 |