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本を、旅を、世の中をどのように見るのか


by qzr02421
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教養とは何か

高校での学習は知識を伝授することだとは思っていない。知識を得るのは生徒自身であって、教師ではない。教師の役目とは、ある知識を得ようとするとき、どのように得たらよいのか、その知識は、その知識以外とどのような関係にあるのかを示すことだと考えている。木で例えると、木の幹を造るのが教師の役目で、その木をどのように登るのかを示すことだ。その木にどのような葉という知識を、花という知識を造るのは生徒の役目なのだ。

内田樹さんが『街場の現代思想』で、「「教養」というのは「生」の知識や情報のことではない。知識や情報を整序したり、統御したり、操作したりする「仕方」のこと」と書いている。「教養とは知識についての知識」とも書いている。ソクラテスのように「自分の無知についての知識」とも書いている。最近に大学生は偏った知識はあるが、偏っているので、他の学生と議論が成立しないらしい。知識の木をどのような構築するかが大切だということだ。

大学生には三種類の存在があるという話は面白かった。その教養が備わった学生、幼少から能やオペラを見て育った学生、別荘やニューヨークなどにセカンドハウスがあるような階層の学生という存在が一つ目だ。この階層は教養をひけらかすことなく示すことがでるのだ。教養をひけらかすほど惨めなものはないのだ。二つ目は勉強ばかりしてこのような文化を知ることもなしで大学の着てしまった階層だ。この二つ目の階層は、教養を持つ階層に近づこうと努力する階層と、あきらめて教養なしで生きることを決意した階層に分かれるようだ。

この階層が大学を出て就職した後も続くことになるのだろう。どのような人生を生きるのかはそれぞれの人が考えればよいのだろうが、せっかく生きているのだから、何らかの文化にふれながら生きたいものだと思う。それにしても能を見て、面白いと思うことができるだけの教養のある人がすごいと思う。私自身は能はさっぱり分からない。ストーリーは知ってはいるが、面白いと思ったことがない。これは趣味の問題ということだろうか。面白くないものは面白くないといえることが素晴らしいことだとは思っているのだが・・・
by qzr02421 | 2011-06-07 19:09 |