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本を、旅を、世の中をどのように見るのか


by qzr02421
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いろいろな人がいるものだ

『奇縁まんだら』をまた取り上げるのだが、その三人目の人物は川端康成だ。この作家は同時代というイメージを持つことが出来る最初の人物だ。川端康成が晩年(自殺してしまうの、その前を晩年という)には源氏物語の訳にとりかっていたというエピソードを書いている。川端康成は与謝野訳が一番よい、谷崎訳は訳というより原文そのもの、円地訳は円地の小説源氏だという評価の披露している。結局川端訳は日のみを見ずに昭和47年4月16日(72歳)に自殺をしてしまのだ。

次は三島由紀夫、この人も昭和45年11月25日に割腹自殺をしている。この自殺をした事件、市ヶ谷駐屯地での事件は高校生の頃だったので、よく覚えている。次は谷崎潤一郎だ。大正時代の文豪というイメージだが、『細雪』は戦後の作品だから、大正から昭和の文豪とイメージを変えないといけない。なくなるのは昭和40年、79歳だ。

政治家で登場するのは荒畑寒村がいる。この人が昭和の時代の生きていたことは知らなかった。亡くなるのが昭和56年、93歳だ。大逆事件で女革命家として死刑になった管野須賀子を題材にしたいということで寒村にあったそうだ。取材で、寒村の記憶力のよさ、何も見ずに若い時代のことを何年何月誰が・・・と、明晰な声と噺家並みの話術で語ってくれたと書いている。

松本清張についても講演ではメモも一切見ないで直立したままほとんど姿勢を崩さずに同じ声に調子ではじめから終わりまでしゃべり通すと書いている。清張の講演は句読点や読点まで話の中で感じることができるらしい。講演したままそのまま活字にして本にすることが出来るのだそうだ。実際清張になぜそのようなことが出来るのか訊ね、清張は「口述筆記しているので、句読点を頭の中に入れる癖がついたのだ」と述べたということが記されている。このほか岡本太郎、遠藤周作、水上勉、今東光などとの縁が書かれている。面白い本だ。
by qzr02421 | 2011-01-12 21:40 |