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本を、旅を、世の中をどのように見るのか


by qzr02421
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江戸無血開城の立役者

勝海舟と名古屋との関連があるとは知らなかった。海舟の次女の子孫が海舟の資料を名古屋の博物館に寄贈したのだ。寄贈したのは昭和54年だから、30年ほど前のことだ。海舟は坂本龍馬に世界を見る目を与えた人ということになっている。海舟の『氷川清話』には、幕末のことが、海舟の体験をもとに記されている。覚えまちがいや、記憶の改変が考えられる。どこまで信用してよいのか分からない本だ。

もちろん当時のことが分かる一級史料であることは間違いないが、記憶の変化があるのも間違いはない。その海舟の史料が、名古屋市博物館の常設展示のフロアーで特別展示されている。海舟というのは絵や書を書くときの号で、佐久間象山が書いた額の中の号からつけたということらしい。案外いい加減につけた号が後世には有名になっているということだ。

海舟といえば、日本海軍の海の親でもあり、江戸無血開城の立役者でもある。咸臨丸でアメリカにわたってもいる。19世紀中頃、世界を見た人物の一人だ。世界を見る人は、現代では多くいるが、世界の現実を、日本の将来をどうするかという問題意識で見てはいないだろう。日本の将来をどうするかを考える立場にないからだが、海舟は、日本の未来を背負ったのだろう。

東京遷都も海舟の考えで決まったということが記されている。東京に遷都した理由はよく変っていない。大阪や京都を首都にするという考えもあったが、なんとなく東京、つまり江戸が首都になったのだ。この発案者が海舟ということだ。このことも『氷川清話』に、大久保利通とのやり取りが記されているらしい。江戸150万人の人を救うために提案したというのだ。藩がなくなれが、どこの都市でも同じように生活できなくなる人がいるだろうに、江戸だけ特別というのが海舟の考えだったようだ。あまり史料は多くないが、それなりに楽しめる展示だった。
by qzr02421 | 2010-06-28 21:16 | 劇,映画その他