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本を、旅を、世の中をどのように見るのか


by qzr02421
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記憶したいことを記憶している

記憶などというものは曖昧なもので、記憶したいことを中心に、記憶しているとしか思えない。友達との会話で、印象的で何十年も覚えていることでも、友人にはたいした影響がないのか、そんなことがあったのかと言われることが多い。人生を決める一言があるらしいが、それも影響があった人がいっているに過ぎないのだろう。教師をしていると、生徒が、先生のあの一言で心が決まりましたなどといわれることがある。

生徒が何かを求めていれば、教師のなにげない一言で、悟りが拓けるということだろう。教師は何もしていない。悟りを拓いたのは生徒の力なのだ。それでも、生徒が藁をもすがる時に、生徒の悟りが拓ける一言を言ってみたいものだ。案外、生徒が解答を出しているので、何を言っても生徒は悟りを拓いて、彼自身の一歩を歩んでいくのかもしれない。教師というのは謎めいていたほうがよいということかもしれない。落語の「こんにゃく問答」が、師と教え子の関係の極意かもしれない。悟ろうとしている僧侶は、こんにゃく屋の言葉でも悟りを拓くことができるのだ。

ところで、記憶は曖昧だろうが、わたしが最初に読んだ本は、アラビアンナイトと記憶している。小説は赤毛のアン、推理小説はシャーロックホームズとルパンだ。伝記で最初の読んだのは渡辺崋山なのだ。今、愛知県立美術館では常設展として「渡辺崋山」展を開催している。田原市博物館所蔵の絵画など借りてきて展示している。田原は遠いので、県美術館で観ることができるのはラッキーだ。

渡辺崋山は学者であり、画家でもあり、政治家でもある。歴史上の人物かマルチの人が多い。マルチで活躍することができる時代だったのだろう。彼は小さい頃からすぐれたデッサン力を持っていたことが分かる展示だった。独自の描線と西洋風の遠近法を取り入れている。蛮社の獄などの関係で、江戸から田原に戻り(生まれが江戸なので戻るのは言い方が変だが)さまざまな事情で、49歳で自刃した。絵を見ていると、惜しい人が亡くなったという気持ちになる。
by qzr02421 | 2010-06-18 16:20 | 日常