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本を、旅を、世の中をどのように見るのか


by qzr02421
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小泉首相の出現で、利益分配型の政治に決別

高瀬淳一著『武器としての言葉政治』で、戦後の政治家の言葉を分析している。吉田首相から岸首相までの時代(1950年代)は「民主主義のレトリックの時代」で、戦争に敗北し民主主義(本当は民主主義は嫌いかもしれないが、時代の趨勢でということだ)を国民とともに確立していこうという言葉が、国民の投げかけられた。岸首相は新安保強行採決後「院外の運動に屈すれば日本の民主主義は守れない。私は国民の声なき声に耳を傾ける」と発言した。民主主義の理解の相違が国民との間にあったようだ。

1960年代は「国家建設のレトリックの時代」で池田首相の演説には民主主義という言葉ではなく経済成長という言葉が重視される。この傾向は佐藤首相にも受け継がれる。池田首相のスローガンは「寛容と忍耐」だったが、佐藤首相のそれは「寛容と調和」そして「繁栄」となる。生活向上を求める国民は「欧米諸国に追いつけ追い越せ」という経済競争を求めたのだ。池田首相は経済的繁栄だけではなく、そのために基礎として福祉国家の建設を大目的に掲げたのだ。

1970年代に入ると「課題解決のレトリックの時代」に入る。田中、三木、福田、大平そして鈴木善幸の時代だ。この時代は繁栄は国家建設という言葉ではなく、物価高騰、公害問題、石油危機、政治不信という迫り来る政治課題を克服していくという言葉が中心となる。

1980年代以降は「政治改革のレトリックの時代」となる。中曽根康弘の登場だ。アメリカではレーガンが大統領の時代だ。課題の解決ということでは政治経済の情況の打破が困難となり、政治改革が求められるようになる。竹下、海部、宮沢、細川、村山、橋本、小渕、森と続き、構造改革を掲げ小泉が登場する。小泉首相の出現で、利益分配型の政治に決別し、不利益配分型に転換したのだ。そしてその痛みが今回の民主党の勝利となるのだろう。
by qzr02421 | 2009-09-08 15:46 |