人気ブログランキング | 話題のタグを見る

本を、旅を、世の中をどのように見るのか


by qzr02421
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

大卒の親の子は大卒

『学歴分断社会』(ちくま新書)を読んだ。吉川徹さんで読みかたは「きっかわとおる」さんだ。軽量社会学を専攻している学者さんだ。彼によると、格差社会の格差は何から生まれるのか、それは学歴からだということだ。高卒の親の子は高卒という学歴、大卒の親の子は大卒という学歴になりやすい。高卒と大卒では、将来の収入や社会的地位に格差が出るというのだ。

実際には親が大卒で子は大卒か高卒になるパターン、つまり①同じ大卒学歴、②学歴下降、時親が高卒で子は高卒か大卒になるパターン、つまり③同じ高卒学歴、④学歴上昇という4つのパターンがある。生涯賃金は高卒にくらべ大卒は1.5倍くらいになるといわれている。高卒と大卒で労働人口を二分しているというのだ。

フリーターなど現在問題になっている層は高卒集団が多いという。学歴によって格差が固定しているようだ。吉川さんは、高卒、大卒どちらでも、希望をもって暮らすことができる社会の実現が必要といっているような気がした。努力すれば報われるという思いを持つことができる状態を希望があるというのに対して、努力しても何も変わらないしもっと悪くしれないと思う状態を絶望と呼ぶとしている。やる気の断絶を「インセンティブディバイド」という。「希望格差」というもの同じような意味だろうか。

誰しもが希望を持つことができる社会がよいには違いない。ところで、高卒の親は、子どもに強く大学進学を勧めないし、子どもも大学進学を望まない傾向にあるという。大卒の親はこれと逆ということだ。大卒と高卒の間に収入や、身分の差が生じ、それが固定化している現状が格差社会に実態なのだろう。ちなみに高卒の階層(クラス)の女子は「ギャル系」「手に職(をつける)系」「ストリート系」で男子は「SPA!系」「フリーター系」が多いと考えているとしている。「下流は」という主語は「高卒は」としても読むことができるということだ。

高校中退や中卒を減らすことが、今の社会では一番重要な政策であるとしている。そこをあげることによって、全体の幸せを考えるということだろうか。しかし、高校で教えている身としては、「なるほどそういうことか」と思える事が多い本だった。
by qzr02421 | 2009-06-27 07:19 |