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本を、旅を、世の中をどのように見るのか


by qzr02421
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悟りを拓こうとして座禅をしてはならない

道元の一生を描いた映画「禅ZEN」が上演されている。道元は中村勘太郎が演じている。中村家の人は声が皆似ているし、声を張ると、やはり歌舞伎のような感じになる。それはそれでよい感じがした。道元が幼少の時から始まる。母が「阿弥陀にすがれば、極楽浄土に行くことができるのか」と道元に問う。道元は「死んでから極楽浄土の行ってなにがよいでしょう。この生きている今が極楽浄土なのです」と答える。母、高橋惠子が演じているが、「この世が極楽浄土なら、どうして戦乱があるのですか、あなたは、それをつきとめてください」といって息を引き取るのだ。

そして、仏道を極めようと宋に渡たる。そして、真に師と出会い、悟りを開いて帰国する。帰国をし、座禅という新たな教えを広めようするが、延暦寺の僧兵に、邪教の烙印を押され孤立し、六波羅探題の助力で、永平寺に逃げ、そこで曹洞宗を広めて行く。

彼の教えは、自然の流れに身を任せ、ただ坐るのみ、つまり「只管打坐」なのだ。「悟りを拓こうとして座禅をしてはならない」など、なかなか心にしみる言葉が多い。永平寺の修行するなか、コメがなくなる、「コメがありません」と言われ、「それでは、お湯のみ飲み、修行させていただく」と道元が答える。贅沢した、美味しいものが食べたい、遊びたいなどとは無縁な道元の姿がよく描かれている。

中村勘太郎の道元もよいし、遊女役の内田有紀もよい、彼女は遊女から、最後は出家し、中国の渡る。そのような女性がいたかどうかは知らないが、女性が悟るというのは新鮮な描き方だと思う。遊女も何もない、みんな人間で、その心には仏が宿っている、それの気がつかないだけだ。欲望というベールを剥がせば、そこには仏がいるということだろう。

監督は高橋伴明その他の出演者は 藤原竜也 、村上淳 、 哀川翔 、 勝村政信、 笹野高史、西村雅彦などであった。平日の朝一番なのに、結構人が多かった、しかも年配の人ばかりだった。曹洞宗から動員がかかっているような感じがしたが、実際は、悟りを拓きたい労力男女なのだろう。地味が映画だが、好きな作品だ。見て良かったと思う。
by qzr02421 | 2009-01-16 15:03 | 劇,映画その他