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本を、旅を、世の中をどのように見るのか


by qzr02421
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自分を愛していない人は隣人を愛することができるのか?

内田樹の『ひとりでは生きられないのも芸のうち』を読んだ。この本の最後のほうに、キリスト教で「隣人をあなた自身のように愛しなさい」という言葉があるが、自分を愛していない人は隣人を愛することが分からないだろうという言葉があった。

人間疎外ということが言われて久しいが、人間疎外、つまり人間らしく生きることが出来ないということだ。人間疎外から抜け出る方法は、「自分自身を好きになること」と考えている。そのように簡単なことが出来ないのだ。それだけ自分自身を愛することは人間疎外になると難しいことなのだ。

自分を愛するということは、どんな不完全な自分でも、その嫌だと思う自分を含めて、自分だから、そのまま自分を認めるということだと思っている。どこかに「本当の自分がいる」ということはない。今ここに存在する自分が自分で、「そのままの自分でいていい」と思うことだ。

内田さんは「誰でも自分の中に弱さや醜さや邪悪さを抱えている。誰も憎まず、誰も羨まず、誰にも欲望を抱かない人間などこの世には存在しない・・・そういった邪念を受け入れるところからしか自分自身を愛するということは始まらない」と言っている。

自分のように隣人を愛するということは、隣人も欠点もあり、嫌な面もあるけれど、結構よい面もある、その隣人総体をあいするということだ。自分に厳しければ他人にも厳しくなるものだ。その厳しさをヨコにおいて、優しい目で自分と隣人を見ることから始めることが大切なことだ。
by qzr02421 | 2008-08-18 18:35 |