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本を、旅を、世の中をどのように見るのか


by qzr02421
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執念は凄まじい

『ヒトラーの偽札』を読む。著者はアドルフ・ブルガーだ。前半は強制収容所での生活を描いている。生きのびるためにどのようなことをしたのか、生きやすい作業所への移動を考える。自分の命を助けるための努力!ある意味卑怯かもしれない努力がある。

ユダヤ人がアウシュビッツに送られる、そこでガス室で殺されていく。しかし、同じユダヤ人が何もできない。何ができるということではなく、自分の命を生きのびらせる努力をしかできない。ドイツ軍の残虐さを歴史に刻むために生き残るということだ。

このような残虐なことがあったということを伝えるべきユダヤ人を残すという執念は凄まじい。強制収容所でユダヤ人を監視し、暴力を加えるドイツ人がいる。このドイツ人は犯罪を犯したドイツ人だ。刑法犯にユダヤ人を支配させる。このドイツ人が残虐な暴力を繰り返す。相手を殺すこととが目的の暴力だ。

弱者が弱者を支配するという最も嫌な構図だ。主人公はあらゆる手段を使い生きのびようとした、回りの人々もそれを助けた。その結果、主人公は強制収容所に送られたユダヤ人の没収された荷物の峻別にあたることとなる。そして収容所を転々として、最後には紙幣偽造計画に関わっていく。

この計画の参加を断れば、死が待つだけだ。関われば最高機密を知ったことになり、やがては死が待つのだ。しかし、生きのびるために加担をしていく。ドル紙幣の偽造の工夫など職人技を感じる話もある。

ドイツの敗北とともに、助かった著者が、紙幣偽造計画いわゆるベルンハルト計画を告発していく。前半のホロコーストの場面も凄まじく悲惨だが、後半の偽造に経緯も凄まじいものがある。読むべき本の一冊だと思う。
by qzr02421 | 2008-07-10 14:08 |