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本を、旅を、世の中をどのように見るのか


by qzr02421
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再び、森川如春庵展

 数寄人や茶人といわた森川如春庵は、書画をたしなみ、和歌を詠み、俳句もつくった。さらには作陶にも興味があり、光悦の写し「時雨」をおおく手がけた。写しというのは贋作にもつながることだが、それは心の問題だろう。彼は、それが好きだから写しただけだ。さらに、地方の工芸家に写しや好みのものをつくらせることによって、育成したという。

 本人の作の一行書「今日好春」は風情がある。バーナード・リーチによる彼の自画像もよいものだ。交友関係の広さを感じさせる。大きな人には大きな人が集まるのだろう。絵画の収集も多く、「佐竹本三十六歌仙絵巻」切断の抽選で「柿本人麿」を引き当てたことが有名だ。「強運」という噂を生んだ。この作品は展示が今回なく、4月1日からだ。残念ながら写真が飾られていただけだ。
 
 如春庵が好んだ戯れ歌は「天下様にも及ばぬものは、金のしゃちほこ雨ざらし」だという。「小野道風図」の模写もよい。道風は立てひざをして口を半開きにして、だらしない姿が印象的だ。彼は晩年中風で体が不自由という伝説をふまえたものだ。歴史上の人物も病気というのは、その人物に一歩近づいた気がする。病気もするよねという感じだ。

 「糸印」もよい。これは室町から江戸初の生糸の荷につけられていた銅印のことだ。印譜もよい。この展示を見ていた、二人連れの女性が「こういう印、高校時代の書道の時間に作ったよね」「そうそう作った、作った」という会話を聞くのも楽しいことだ。

 年配の女性の会話も聞こえてくる。「連歌から俳句が出来たのよね」「俳句って難しいのよ、結構約束事があるの」「ええ、よくわからないわ」「連歌をカルチャーでやっている人がいるのよ」「577・・・なんだよね」「花とか月を入れ、何か作法があるのよね」・・・

 如春庵は自分の目に自信があったということが実感できる作品ばかりであった。「光悦の前に光悦なし、光悦の後にも光悦なし」、「時雨」は素晴らしかった。
by qzr02421 | 2008-03-17 07:20 | 劇,映画その他