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本を、旅を、世の中をどのように見るのか


by qzr02421
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ハシムラ東郷とは誰か?

劇を見て、それはどういうことだったのかという疑問を持つことがある。ただ楽しい劇もある。劇団四季の「美女と野獣」などは楽しめる作品だ。ミュージカルでハッピーエンドで終る作品は、気楽に愉しむことができる。しかす、そのような劇ばかりではない。劇団燐光群の作品は一癖も二癖もあるように感じる。

いま燐光群は「ハシムラ東郷」という作品を上演中だ。ハシムラ東郷というのはアメリカのコラムを書いた日本人ということになっている。日本人学僕という存在だ。学僕というのはジャパニーズスクールボーイのことで、日本の上流階級の男子がアメリカに渡り、学業をするはずだったのだが、アメリカの家庭でハウスキーパーのような仕事、つまりお手伝いさんをするという存在だ。

その学僕であるハシムラがアメリカの家庭を皮肉った文章を書き発表し、マークトゥエインにも絶賛されたということだ。しかし本当のハシムラ東郷は日本人なのかという疑問があり、結局はハシムラ東郷の正体は白人作家のウォラス・アーウィンということとなった。それでも日本人といえばハシムラ東郷のようの出っ歯な日本人というイメージを定着させたようだ。

坂手さんの本はセリフが機関銃のように飛び交うし、ハシムラ東郷と思われる人を4人の役者が演じる、しかも同じ場面、ハシムラ東郷を演じた役者はちがう場面ではちがう役を演じる。さらに過去を未来が交錯する。見ていて楽しいのだが、少しクビを傾げたくなるときもある。それが快感といえば快感なのだろうが・・・

ハシムラ東郷の絵が幸徳秋水に似ているということらしく、それはハシムラ東郷の絵を描くとき、見本に大逆事件の幸徳秋水の新聞記事の写真をモデルのしたからというセリフがあるが、これは本当の話だろうか。ハシムラ東郷には原作があるので、その本を読むとわかるのかもしれない。原作は慶応大学文学部の宇沢美子教授の著書『ハシムラ東郷』だ。
by qzr02421 | 2009-12-18 16:01 | 劇,映画その他